スペイン巡礼#7 巡礼仲間との絆

2015年5月3日

夕食を共にしたドイツ人男性は私たちより先に出発し、以降会わなかった。

私たちはラウルを含めて5人で出発した。暗闇の中、ヘッドライトを点けて歩く。途中発電所の横を通る。

流行りの工場夜景みたい
そのへんに馬がいる

先を歩くチーロが、「りっかは時々『チーロー!』と叫ぶべきだ」と言うので、時々叫んでみることにする。と言っても数えるほどしか私からは叫ばなかった。ほとんどはチーロが先に「りっかーーーー!!」と叫んで、私がそれに答えて「チーローーーー!!」と叫ぶパターンであった。
※これをやるのは二人の距離が前後にやや離れているときである。

実はこの日の道中でようやくジャン、ニコ、ラウルの名前を確認した(遅)。

私はカミーノに三日間用意していた。そしてこの日が三日目だった。チーロが「今日は君は最後の日なんだから、楽しむんだよ」と言ってくれた。

歩きながら、考えていた。正直、イタリア人ばかりのパーティーで、何を話しているか分からなくて疎外感を感じることもある。また来年、別の仲間とカミーノしよう。セクションウォークで良かったではないか。

こういうお墓を見るとドラクエっぽい・・・とか思っちゃう
途中カフェで休憩。巡礼者のモニュメントが目を引く
巡礼途中で亡くなる人もいる。
少し道を逸れて、とある教会に立ち寄った
巡礼のシンボルである黄色い矢印の付箋に何かコメントを書いて貼り付けているようだ
ジュマンジっぽい壁画があった
通った街の巡礼路上に露店が並んでいた
露店の商品
八重桜みたいな街路樹
サンティアゴまでの距離
巡礼者の絵はそこかしこにある
巡礼者のシンボルであるホタテ貝で飾られた家の壁

パンプローナに着いてすぐ、目に留まったこぢんまりとしたアルベルゲに行った。

受付を待つ列に並んでいると、パーティーのみんながイタリア語で何やら議論し始めた。結構声をまくしたてて話し、そのうちジャンとニコが荷物を持ってどこかへ行ってしまったので、私はケンカ別れでもしたのかと不安になり、「何が起こっているの?」とチーロに聞いたのだが、彼は聞こえなかったのか答えてくれない。

そのうち列が進んでいったが、チーロは後ろの人に順番をゆずり、荷物を持って「行こう」と私にジェスチャーで示した。みんなチェントロがどうとか話していたので、おそらく町の中心(centro)のアルベルゲに行こう、というのだろう。街を囲むような壁の中に入る。

門をくぐって壁の中へ
パンプローナ市街

最初に寄ったアルベルゲはベッドが26台しかないところだったが、中心部にあるアルベルゲはベッドが100台くらいある大きな建物だった。「こっちのほうがいいでしょ?」と笑顔のチーロ。もしかしたら今日が最後の私に気を遣ってくれたのかもしれない。受付に並んでいると、ニコとジャンが現れて笑顔で再会を喜んだ。ケンカ別れじゃなくて良かった(笑)

アルベルゲの入り口。前に立ってるのはラウル。
入口の上にセミナリヨと書いてあるので、昔は修道士育成のための学校だったようだ。

シャワーと洗濯を済ませたあと、街へ散策へ。

肉屋がサンドイッチを売っていたので入る
生ハムかな
バゲットに生ハムを挟んだだけのこのシンプルなサンドイッチが信じられないくらいおいしかった。本場の生ハムがおいしいのか、空腹が最高のスパイスなのか。両方かな。

広場の中心にある、この構造物(↓)の中心から、チーロがパノラマ写真をiPhoneで撮影した。

撮り終わった写真を見せてもらうと、一周ぶん、どの方向にも色んなポーズをしたチーロが写っている。それを見た私が「So many Tiro(とてもたくさんのチーロ)」と呟くと、そばで聞いていたニコの笑いのツボにハマったらしく、この後度々彼女は「So many Tiro」と呟くのである。

チーロが「今日はりっかが最後の日だから、夕食はりっかのしたいようにしよう。どうしたい?」と聞くので、私は持ってきた日本の調味料で日本料理をみんなに作りたいと言った。ここで、少し前から隠して流していた涙が堪えられなくなってしまった。来年別の仲間と仕切り直せばいいと思っていたのに。急に、これでみんなと歩くのが最後だと思うと涙が出てしまったのである。自分でも気付かないうちに絆ができていた。ニコが「オ~、りっか~💦」となぐさめてくれた。

アルベルゲに戻り、チーロは乾燥機の順番待ち。ラウルにスーパーに行く、と告げると、付いてきてくれた。スーパーに行く途中でジャンも合流。ジャンはほんの少し英語が話せる24歳。ラウルはほとんど英語は話せない。肉じゃがの材料を買って帰る。日本酒は売っていないので白ワインで代用。みりんは諦める。ほんだしと醤油は日本から持ってきたものを使う。下ごしらえをチーロが手伝ってくれた。彼の方がナイフでのジャガイモの皮むきが早くて恥ずかしくなる。彼は一生懸命フォローしてくれたが(笑)僕のナイフのほうが切れ味がいいとか、僕のほうが分厚く剝いているだとか。私の料理だけでは足りないだろうということで、彼は得意のナポリタンも手早く作っていた(作り方は前回のブログを参照)。お皿にオリーブオイルを敷いてしまった都合上、肉じゃがを食べるのが後になり、彼は「日本では料理を食べたあとにげっぷをするのはマナー違反?」と心配していた。残さずたくさん食べようという心遣いだろう。可愛い(笑)「良いマナーではないけど、私は気にしないよ」と笑顔で返した。

料理をしていると、ラウルがアメリカ人女性を連れてきて紹介してくれた。クリスタルだ。「彼、(宿や仲間の)ガイドツアーをしてくれているのよ」と苦笑いする彼女。夕食に誘ったが、彼女はもう外で食べてきたらしい。パンプローナから巡礼を始めるとのこと。その割にはお皿が一枚多い。チーロに聞くと、一人誘ったようだ。夕食に現れたのはイタリア人のサムエレ。お洒落なイケオジ49歳。お茶目で陽気。口癖は「ニャニャニャニャニャ~(聞いてないよ~)」と「アエアエアエ~(舌を出してこれを言う。たぶん意味なし)」である。こんな49歳日本にいないぞ、と思った

異国での肉じゃが作りは割とうまく行き、おいしく出来た。みんなとても喜んでくれた。サムエレに至っては「とても気に入ったから、この料理の名前を僕の携帯に打ち込んでくれ」と頼んできたくらいだ。料理を振舞ったおかげで絆がより深まったと感じた。

実は下ごしらえの最中、チーロに「もう一日歩いてもいいかな?」という話をしていて、チーロ的にはサプライズニュースにしたかったようなのだが、そうとは知らず、ラウルが夕食前に「最後なの?」と悲しがるため、通訳を頼みがてらニコに話してしまった。みんな私がもう一日歩くことを喜んでくれた。

ベッドに戻ると、ラウルのベッドの上段にクリスタルがいた。それでラウルは声を掛けたんだな。私のベッドの下段にいるチーロに「おやすみ」と言うと、投げキッスが返ってきた。(。´・ω・)ん?

つづく

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